月と太陽
「そのような事ならば伝書鳩を使えばよかろう。それに現在、町長は用事がありこの街にはいない」


その言葉に三人は黙りこくった。


理由をちゃんと聞いてもらえば分かってもらえるだろうがそう簡単に言っていいものではない。

何も言えない三人を見て衛兵は意地悪そうに言った。


「もう言うことがないのならここから立ち去れ」


エセルは何か言い返そうと言葉を探したが見つからない。


とまどっているエセルをよそにフェリアが前に立ち、言い放った。


「戦争を起こそうとしているのよ!それを伝えに私たちはきたの」

堂々とそう言い張るフェリアを見てエセルは自分の不甲斐なさを知った。


フェリアはちゃんと行動を起こせているというのに自分は恐れをなして言う事が出来なかった。
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