不機嫌な果実
そうあの日――今から半年前のことだった。
マーケティングの企画で、コンペの結果、麻紀の企画案が社長以下、管理職の高い評価を得て採用となった。
会議室に呼ばれ、パイプ椅子に座った麻紀の心は珍しく落ち着かなかった。
社運を賭けた一大プロジェクトに、自分が責任者として携われるかもしれない。
その思いが、麻紀の心をひどく駆り立てた。
目の前に座る社長の言葉を待つ間、審判を下される罪人のような気分だったことを思い出す。
普段、あまり汗をかくことがなかった麻紀だったが、この日ばかりは、緊張で脇の下が汗ばんだ。