不機嫌な果実


それだけ言うと、小菅はさっさとカウンターでの宿泊手続きに向かってしまった。


いつもの軽い冗談なんだろうけど。


残された麻紀は、動揺を鎮めようと必死だった。


「幹事さん、よろしくね」


「はい、」


くるりと振り返ると、相澤だった。


久しぶりだった。


こんなふうに、正面から向き合うことは。



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