不機嫌な果実
浴衣に着替え、化粧を施すと、たちまち夕食の時間が迫っていた。
「さっ、そろそろ時間だわ。二階の大広間に移動しましょう」
麻紀は皆を夕食の席へと促した。
大広間では、夕食の支度が整えられ、あとは乾杯を待つばかりといった感じだった。
すでに男性社員は揃っており、上座に座る社長以下、皆、浴衣姿という出で立ちに麻紀は笑いが込み上げてきた。
ダブルのスーツでは隠し通せたお腹周りも、浴衣一枚ではどうにもならないらしい。
風呂上がりと見られる社長のてかった額や恰幅のいい浴衣姿に、やはり年齢は嘘をつかないと実感してしまう。
果たして自分はどうだろう?と、内心ドキリとした。