不機嫌な果実
「まさか、約束を破ったんじゃないだろうな?」
「当たり前です。
社長の考えているようなことは間違ってもしていません」
「当然だ。それが条件だからな」
……約束?
……条件?
蚊帳の外に置かれた麻紀は頭を巡らせた。
いったい、二人は何の話しをしているんだろう。
社長と小菅とで交わされている『約束』とは、何を意味しているんだろうか?
いくつもの疑問符が、麻紀の頭の中を駆け巡った。
「あ、あの……すみません。ちょっとお伺いしてもよろしいですか?」
「あぁ。なんだね、渡辺くん?」
「あの、お二人はいったい……」
「あぁ、すまんすまん。渡辺くんは気にしないでくれ。私と駿との契約だからな」