不機嫌な果実


――あぁ、もう!!


意を決し、そばにあったタオルを掴んだ麻紀はスッと立ち上がった。


お湯が円を描いた。


「えぇっ?きゃあああああ!」


慌てて振り返ろうとすると、そのまま背後から太い腕に抱き締められた。


「な、な、な、な、な、なに?」


うまく言葉にならない。


まさか、この人、変質者?


こんな高級旅館にも出没するの?


信じれない!!


身を捩り、必死で抵抗を試みた。





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