不機嫌な果実
そんな麻紀の気持ちを知ってか知らずか……
そっと小菅を覗き見ると、少年のように可愛らしい寝顔を浮かべている。
元々、童顔で嫌味のない顔立ち。
今まで気付かなかったけど、睫毛がとても長い。
鼻筋もすーっと通っている。
こんなにじっくりと小菅の顔を見たことなかったもの、気付かなくて当然よね。
その控えめな口元がむにゃむにゃと動きだした。
「うーん」
布団を蹴飛ばし、寝返りを打ったその拍子に麻紀の膝元に頭が接近した。
「えっ、やだ……どうしよう」
小菅の頭に両手を添えて、ゆっくりと離そうとしたときだった。
――え?