不機嫌な果実
右手首が掴まれたのだ。
「え、ちょっと」
慌ててその手を離そうとすると、掴まれた手首がさらに強まった。
小菅は寝呆けているに違いない。
いったいどんな夢を見ているんだろう。
麻紀の手首を掴んだまま、規則的な寝息を立てている。
無防備な小菅が、なんだか可愛い。
「ふふ。可愛い寝顔」
小菅の髪の毛に触れ、そっと撫でてみた。
柔らかくて指通りのいいサラサラのヘア。
「このままでもいいっか!もう少しだけ寝かせてあげよう」