不機嫌な果実
〈3〉ピーチの香り
「なぁ、俺たち結婚しようか?」
「――えっ、結婚?」
思わぬ発言に、ベッドから慌てて身体を起こし、弘樹の方に向き直った。
これだけ身体を重ねていても、やっぱり恥ずかしさを持ち合わせている麻紀は、シーツを胸元まで引き上げた。
「あぁ。俺と麻紀となら互いのプライバシーを大切にしながらうまくやっていけると思うんだ。価値観も合うし、この通り身体の相性もバッチリだしな!」
ニヤッと笑うと、タバコを指に挟んだまま、弘樹はおでこにキスをひとつ落とした。
たちまち、麻紀の身体中に電流が走り、再び身体の奥が疼き始めた。