不機嫌な果実
――翌朝。
順番にシャワーを浴びた二人は、それぞれ支度を済ませると、時間をずらして出勤することにした。
インスタントコーヒーを飲みながら今日の仕事のチェックをする二人。
二人の間で、互いに昨夜の話題について触れることはなかった。
麻紀の頭の中は、これから始まるプロジェクトへの期待で埋め尽くされていた。
社長はもちろん、今回、自分の企画案を後押ししてくれた部長の期待にも応えたい。
そして、その先に待ち受ける幸せにも――。
二日酔いと睡眠不足とで疲れているはずなのに、
麻紀の意識は、思いの外、しっかりとしていた。