不機嫌な果実


取り乱した麻紀は、口にしていたコーヒーを噴き出しそうになり、慌ててゴクンと飲み込んだ。  


仕事のできる男として名を馳せていた小菅だったが、麻紀に対しては、どういうわけか、なんだかんだと絡んでくることが多かった。 


そんな小菅に対し、麻紀は必要最低限の仕事上の話しかしようとはしなかった。


小菅と言葉を交わしていると、調子が狂ってしまうのだ。


小菅に振り回されている、という言葉が適当かもしれない。


でも、後輩たちの話によると、こんな小菅にもモデル顔負けの美人な彼女がいるらしい。 


給湯室や社員食堂での、女性社員の専らの噂。




< 33 / 210 >

この作品をシェア

pagetop