不機嫌な果実


お嬢様育ちの彼女の我儘に合わせるのも、疲れていた小菅。 


「女って、面倒臭いですね」


そんな愚痴を、麻紀に零す。


「なら、付き合わないこと!嫌だったらさっさと別れたらいいじゃない」 


「別れれば……ね。彼女の嫉妬深さを渡辺さんにも見せてやりたいですよ」 



「そんなの、お金貰ったって見たくもないわよ」 


「あははは……さすが渡辺さんですね。適わないなぁ」


高らかに笑うと、小菅は残りのコーヒーを飲み干し、ごみ箱にひょいっと投げ入れた。


外れるかと思ったが、見事シュートした。



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