不機嫌な果実
小菅の彼女・小林英里(こばやしえり)とは、学生時代の友人がセッティングした合ンで知り合ったと、いつだったかの飲み会の席で聞いた。
大きな瞳に透けるような真っ白な肌。
料理をこまめに取り分けしたり、空になりそうなグラスを見つけると、すぐに注文を促すなど気配りのできる女の子。
そんな印象を、小菅は彼女に抱いた。
向かいに座ったときから英里に好感を持っていた小菅。
英里もまた、小菅に狙いを定めていた。
一次会終了後、盛り上がる皆の輪から逸れた二人。
暗黙の了解で、二人はラブホテル街に吸い込まれるように消えていった。