不機嫌な果実

テーブルに置いてあった小菅の携帯を開き、着信履歴やメールの送受信を確かめる英里。　


「英里ちゃん、それはやめといた方がいいよ！」


「そうだよ。あとでバレたら厄介なことになるよ」


「駿、キレたらマジでヤバイって！」


周りの友達がやんわりと止めるのを、ニッコリと微笑んで英里は言い放った。


「大丈夫！私たち、隠し事はしないことになってるから平気なの。心配しないで」　


「「………」」


これを聞いた男友達は、ゾッとしたそうだ。


悪怯れる様子もなく、何食わぬ顔で携帯を覗き見する英里が、自分たちの彼女と重なって寒気がしたそうだ。