不機嫌な果実


このあと、小菅を待ち受けていたのは――… 


自宅マンション前に立つ、殺気立つ英里の姿だった。 


「誰?ねぇ、誰なの?あの女!」 


「同期だよ。帰る方向が同じだったから一緒に帰ってきたんだ」


「そんなの、嘘!
あの女、駿のこと狙ってるに違いない」


「そんなわけないから」


「絶対、そうに決まってる。駿だって、あの女のこと可愛いと思ってるんでしょ?」


深夜だというのに、道路に響き渡るくらい泣き喚き、執拗なまでに問い詰める英里に閉口した。


これまでの束縛にも正直、嫌気がさしていた。


もう付き合いきれないと悟った小菅は、その場で別れ話を切り出した。 



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