不機嫌な果実


だが、狂気に満ちた英里は、小菅の求めになかなか応じようとしない。


「嫌よ!どうしてあたしが別れなきゃならないの?
あたし、絶対に別れないから」


「とにかく、今日は帰ってくれ」


「イヤって、言ったら嫌!帰らない」


「いいから帰ってくれよ!」


それを払い除けるように強引に追い出した小菅は、玄関の鍵を躊躇わず締めた。



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