不機嫌な果実


「開けてよ!お願いだから開けて!早く、早く開けて!!」


ドンドンドン、と拳でドアを叩きつける音が止まない。


近所の目もあったが仕方ない。


小菅にも疲れの色が見えた。

忍耐勝負、といったところか。


しばらくすると、その音も消えた。


――やれやれ。やっと諦めたか。



安堵した、小菅だった。




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