不機嫌な果実
それから数時間後のことだった。
〜♪〜♪〜♪〜
部屋に鳴り響く小菅の携帯。
画面には、見たことのない番号の羅列。
時計は、午前二時を差していた。
普段なら登録されていない番号からの着信には応じない小菅だったが、なんとなく胸騒ぎがして、受話器を耳に当てていた。
「はい」
「もしもし、小菅くん?美希です。英里の友達の中山美希です」
「あぁ、美希ちゃん。
どうしたの、こんな時間に?」
電話越しに聞こえる中山美希の声は、明らかに震えている。
嫌な予感が、頭を掠めた。
「英里が……英里が手首を切って救急車で病院に運ばれたの。小菅くん、お願いだから早く来て!」
「えっ、なんだって」