不機嫌な果実


看護師に案内され、病室で眠る英里の元へ向かうと、彼女の左手首には真っ白な包帯が巻かれていた。


真っ白な壁と薄いピンクのカーテンで覆われた無機質な部屋。


青白い顔を浮かべたまま、ベッドで眠る英里の姿に身震いした。


点滴の管で繋がれた細い腕が痛々しかった。


俺の所為でこんなことに……。


英里、ごめん……。


本当に、ごめん……。


小菅はうなだれた。




――そのときだった。






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