不機嫌な果実


「どうしたんですか?みなさん楽しそうですね」


「えっ、いや別に」


相澤は、ネクタイに手をかけ、結び目を直し始めた。 


「それにしても、渡辺さんって、ホントすごいですよね。男性と同じくらいバリバリ働いて、カッコいい!私には真似できないな」



首をちょこんと傾げ、唇を舌先でペロッと舐めた美和は小さな笑みをもたらした。


そんな美和に、相澤も小菅も苦笑いを浮かべた。



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