不機嫌な果実
〈6〉チェリーの気持ち
ギラギラと太陽が照りつける、暑い夏の午後。
麻紀は、会社近くにある旅行代理店に来ていた。
猛暑日続きの影響か、店内は客が疎らだった。
冷房の効いた店内に入ると、入り口すぐ脇に置かれたパンフレットを迷わず手にした。
表紙には『夏スペシャル リゾートの旅』というフレーズとともに、真っ青な海と白亜のホテルが映し出されている。
ホテルからプライベートビーチまで徒歩3分。
街から隔離され、リゾートを満喫できる最高のロケーションだ。
誰にも邪魔されず、バカンスが楽しめそう。
普段は着ない水着だって、ここでなら惜し気もなく披露しちゃうわよ!