不機嫌な果実
「どうしました?怖そうな顔してますけど」
「怖そう、って。元々あたしはこんな顔だから!」
「いや、そんなことないですよ!渡辺さんの顔は知的で美しいですからね。我が社でナンバーワンです!」
「あのさ、昼間から何言ってるの?あんたが言うと、嘘に聞こえるのよね。お世辞言っても一緒に飲みになんか行かないからね」
「また〜、そんなこと言っちゃって!ちゃんと僕が介抱しますから安心して下さい」
「あのねぇ……」
あんただから心配なんじゃない!と、口から出かかった。
この前のバーだって、小菅が来てからめちゃくちゃなことになったし。
しまいには、あんなところで醜態を曝す羽目になっちゃたし。
どう責任取ってくれるのよ!と、喉まで出かかったのを無理やり引っ込めた。