不機嫌な果実
でも、お互いを干渉し合うことのない、どちらかといえばクールな付き合いを望んだ。
相澤は趣味のゴルフやクルージングに明け暮れることが多かったし
麻紀は麻紀で、フラワーアレンジメントや料理教室に通うなど、互いに趣味の時間を大切にしていた。
だから、彼らの付き合いを知る社内の人間はいないに等しかった。
同期ですら、そんな二人に
「おまえら早く付き合っちゃえよ!」という始末だ。
そんな言葉を掛けられるたび、二人とも苦笑いを浮かべた。