ワインディング ライフ
この時、既にまともな判断は
できなかったのか?
わからない。
しかし、今でも
後悔はしていない。

蝉がまどろんだ空気を
切り刻む稲妻のように
金切り声をあげて、
やがて抜け殻になって
道端に落ちた。

私は講義に急いだ。
時間は止まるはずもなく
珍しく遅刻した。

仕事は恐るべき勢いで
達成できた。
次の移動も
いつになく爽快な気分で
半蔵門線に乗ることができ
渋谷を経由して
薄暗くなった代官山の街を
街灯が淡く映しだしていた。


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