この空の下
その日も奈々は、ある場所に足を運んだ。

手にはケータイ。財布。これだけ持って−。

プルルルル…プルルルル…

「はいは〜い♪」

元気のいい低めの声が出た。

「もしもし??優??」

そう−彼の名前は、橘 優。

「お〜奈々かあ。またアレ??」

「うん…。いつもいつもごめん、」

優は、1つ年上の高校3年生で、兄的存在だ。

家出をしてきた時は、いつも優に御世話になるようになっていた。

「別にいいよ、いつものことじゃん。母ちゃんに飯頼んどく。」

「うん…今から行くね」

ピッッ…

電話を切ると、すぐに優の家へ向かった。

着替えとかなんて−

もう慣れてしまっているから、優の家に置いてある。
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