美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!
 横転した車は右側面を下にしていたので、運転席は上になった左ドアから遠く、赤ちゃんを引き上げるのは容易ではありません。


 「……っ!」
 ユイは腹這いになって精一杯、手を伸ばしました。


 届け…届け…!


 「ユイ!早く!」
 美幸さんが叫びました。もう遮断機は完全に降り、いつ電車が姿を見せても不思議ではありません。


 「届け…。届…届いた!」
 ユイの手が赤ちゃんの襟首を掴みました。


 (ゴメン!)
 グイッと吊り上げる形で、ユイは赤ちゃんを力任せに引き上げました。


 それに驚いた
 『ギャァァ』という大きな泣き声はユイ達を安心させました。

 何よりの無事である証拠だからです。


 「美幸!この子をお願い!」 ユイの手から美幸さんへと赤ちゃんがリレーされます。


 次にユイは、上になった車の左側面に立ったまま呼びかけます。
 「赤ちゃんは大丈夫です!あなたは動けますか!?」
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