美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!
 「綾香は?」

 「赤ちゃん? うん、大丈夫です! さぁ早くこっちに!」
 「う…ぅん、ダメ! 足が何かに引っかかって……」


 「――!!」

 毎日通る通学路です。
 次に来る電車が急行快速である事は分かっていました…!

 しかも…

 「非常停止ボタンは…?」
 「ダメだ! イカレてる!」
 という、やり取りが後ろから聞こえます。

 そうです、雷竜を生み出す電圧に、回路が耐えられなかったのでしょう!


―もう…押すしかない!―

 ユイは車から飛び降りると、壁のように反り立ったボンネットに両手をつけました。


 「ユイ!」

―だって…
 押すしかないじゃん!―

―手でェェ!!―

 ユイは全身に力を込めました!


―動けェェ!―

 タイヤを下にしていれば、あるいは少女一人の力ても動いたかもしれません。

 しかし今は横転した車です。
 運動神経は秀でていても痩身のユイの力ではびくともしません!
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