美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!
 眼前に電車が迫ります!

 耳を塞がねばならない程、大きくなった警笛にブレーキの音と
車内に残された女の悲鳴が加わり、あたかも人外の魔物の怒号のようです!

 〔グワァァァン!〕
 
 「ぶつかるぞ!」
 男が叫びました。

 「ユゥゥイ!!」
 美幸さんは目を覆います。


 ………しかし!
 しかし! ユイは冷や汗一滴もかかず、かくも冷徹に唱えました…。

 ――イグニス、来い―― と…。


 ………と、その刹那!
 
 5人がかりでもびくともしなかった横転した車が、ユイの片手だけでスルスルと氷の上を滑るように、いとも簡単に動くではありませんか。


 ――動かせるッ!――

 ユイの瞳は炎のように煌めき揺らぎ、彼女が背負うのは“赤き竜”の影…。

 ――動かせないワケがないッ!――
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