美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ！

　美幸さんは喜びを諸手で抱きかかえるように赤ちゃんを抱きしめます。

　……！
　…で、でも…ユイは…！？

　美幸さんは気付きました。
　「ユゥゥイ！」
　そうです。衝突は回避されたものの、ユイが無事とは限りらないのです。

　美幸さんは赤ちゃんを抱いたまま、駆け出しました。

　しかも線路の外からでは電車と横転した車の間はピタリとくっ付いているように見えるほど、ユイがいるべき場所は僅かしかないのです。


　……まさか…！
　
　「ユイ！」

　……
　
　「ユゥイ！」
　美幸さんは声を張り上げながらグルリと車を回り込みます。

　
　「…美幸？　美幸……どこ？」
　「私…やったよぉ…」


　――！！
　電車と車がつくる、幅わずか３０センチの暗がりにユイは寝転がっていました。

　「胸小さくて良かったよぉ…」

　
　「え…？」
　

　「小池栄子だったら死んでるね…」

　
　「ユイのバカ…」
　美幸さんの頬を涙が伝います。

　２人の少女が笑い合うと、まるで時機を見計らったように今まで、本能的にか、黙りこくっていた赤ちゃんが途端に元気よく泣き始めました。