美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!
 光の対極、闇…。
 
 “ダークネス”。
 …それが彼女に与えられた竜導師(ドラグーン)名だったのです。

 喫煙所のベンチに腰掛ける美奈子は、一つまた一つと現れる星を数えていました。

 
 10年前…。
 ちょうど、美奈子がユイと同じ年頃だったころ、彼女もまたユイと同じくEPD能力が再発しました。
 “再発”…。まるで不治の病のような表現ではありませんか。
 いえけれど、それはテーゼ(さだめ)というのに近いものです。


 (“闇竜”と出会ってしまった事で、私の人生は 大きく変わってしまった…)
 もちろん今では、当人が感知しない所で“竜”に勝手な破壊行動(前節)を
許してしまった南竜一のような事はありませし、そのような力もありません。


 けれど…それを未だに『残酷なテーゼ』と美奈子が感じるのは、“竜”のせいではなく、もっと個人的な感情によるものでした…。
 (まだ…。私、まだ…“あの人”が好きなの…?)
 美奈子は今晩のデートに気後れを訴える自分の心で、それの認識を新たにします。

 (…もし中学生の時、“竜”の力が備わらなければ、アナタに出会う事はなかったのに…。  こんなに私を苦しませる…病的な恋慕……)


 美奈子は思わず、
 「裕さん…。藤間裕……」
 と、ユイの父の名を呟いてしまったのです…!
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