美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!
 「あぁ…美奈子…」
 不思議にかすれた声は竜の囁きに似ていました。


 (竜は感情の邪悪だけを食べて時たま、こうやって流せない涙に泣くのね……)

 「美奈子…」
 裕は、こちらが窒息してしまいそうな声で言いました。
 「実は……。 ユイが…“再発”した…!」
 

  ………
 美奈子は無言で裕の次の言葉を促しました。

 
 「今さっきだよ…」
 裕は短いため息を吐きました。
 「一時意識を失って、今はK病院に収容されてる。幸い、誰かを傷付けたりは
 していないようだが…。 だが…俺はどうしたら……とても麻衣には話せ――


 「それだけですか?」
 美奈子は心地良い怒りを覚え、裕の言葉を切りました。
 「それだけ? ねぇ、それだけ? それだけじゃ同情なんてしないわよ…!」


 「…み、美奈子?」
 裕はうろたえました。
 いえ、彼女は決して意地悪をしようというのではありません。むしろ、弱り切った男を抱擁してやろうという、先ほどからの母性愛には何らの変遷はありません。
 ただその母性の形態が、“慈悲深い聖母”的なものから、“田舎ギャングのビッグ・ママ”的になったというだけです。

 【しっかりしなさい! 甘ったれるんじゃないわよ】と、彼女は情けない男に
喝を入れようとするわけです。

 
 「あのねぇ、裕さん」
 彼女は叱咤を始めました。
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