美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ！

　「そうね」
　美奈子はそう相槌を打つと、何故だか自分の内にあるセリフが湧き上がって来るのを感じました。


　そのセリフは、多くの感情がない交ぜになって、結果的に無感情な声色で囁かれました。


　「……あなたは、ユイちゃんを愛してる」


　「え？あぁ…もちろん」
　裕は戸惑いました。
　それは、さっきまでの可憐で逞しい母性の声ではなかったからです。
　弱々しく、そして禍々しいともとれる成熟した女の声でした。
　「もちろん愛してるさ。血は繋がってなくても、ユイは僕の娘だ」


　「……じゃあ、もし…」
　美奈子はそこまで言いかけ、やはり思い直して言葉を飲み込みました。

　彼女は、
『もし、ユイが能力者として安定したら、アナタは私にしたように、彼女を“竜探偵”へと仕立て上げるのか？』
　と、尋ねようとしたのです。


　「もし、何だ？」


　答えずに美奈子は首を振りました。
　（これでは尋問だ…。そんな事を尋ねて何になるというのだろう）

　「うんうん、何でもないんです…」