美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!
 というのも彼は、男達が持ち得る女達への最大のエゴイズムとして、
 『娘を守るため、もう一度“竜探偵”になり、不穏の元凶たる雷竜と対峙してくれまいか?』
 という請願をさえ考えついていたからです。

 もちろん、それが手前勝手な考えであることは分かっていました。


 けれども娘を想いさえすれば、それがたとえ自分を貶めるとしても、彼女に侮蔑されるとしても、そのエゴは揺るぎないものだったはずでした。


 しかし…


 「あぁ…美奈子……もちろんだよ…」
 と、彼は言いました。

 美奈子のそうした言葉を聞かされては決意など揺らいでしまい、むしろ自身のその自己本位に悪寒さえ覚えるのです。

 「…もちろんだ」
  と、裕は言いました。
 

 「………」
 美奈子はたっぷり沈黙を使いました。……そして…

 「……今からK病院に行きます、私…!」
 と言い放ちました。
 
 女の直感が、今は動くべきだ、と訴えていたのでした。

 
 「行きますわ。『耳飾り』を受け取りに…!」



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