美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!
 「『光竜』によって殺されてる。 …でもね、私、達也くんを助けたい――
 
 
 【ああ、もちろん。 人間の倫理など知ったことか】
 闇竜は美奈子の肩を抱くように、翼を窄めました。
 【救ってやろうぞ…】
 

 「うん。行こう」


 県下一番の規模を誇る清水塚図書館の暗がりで、丸まれば冷蔵庫にも入れてしまうような五歳児を探す事は至難の極みでした。
 
 しかも、懐中電灯は使えません。せっかく暗がりの中に姿を溶け込ませる『闇竜』の位置を、敵である『光竜』に知らせる事になってしまうからです。

 というのも、『光竜』が、父親を殺し錯乱状態の達也少年の感情を吸っているならば、説得の余地無しに攻撃を仕掛けてくると予想できるのです。


 美奈子と『闇竜』は(二人を合わせて、本来は『ドラグーン・オブ・ザ・ダークネス』と称されます)、ゆっくりと着実に各所を点検していきました。

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