美少女戦士
イグニス・ドラグーン・ユイ!
「何んだと…!?」
「大丈夫。僕は悪魔にはならないよ。憎悪だって僕の一部だから」
「竜一よ…だめだ。いかん」
博士は子供のように、首を振ります。きっと彼は、少年がこれからしようとする事を察知したのでしょう。
「大丈夫。僕は“裁定者”として、もう少し『世界の真実』に耳を傾けている必要があるんだから…」
…『世界の真実』…!
【悲愴】と【憤怒】と【憎悪】だけの世界を彼はそのように命名してしまったのです……!
バリバリッ!!
少年の手から放たれた電流が窓ガラスを突き破りました。
「待つんだ!!」という博士の制止を振り切って、少年は雷の魔法を唱え窓ガラスを割ったのです。
さっきまでの気だるい雨だれが嘘のように、暴風と豪雨が廃オフィスに飛び込んできました。その風にマントは膨らみ今にも飛び立とうと彼を誘います。
暗い空には、彼を、いえ…“主”を待っていたように轟々という雷雲がとぐろを巻いていました。
ドルン、ドルンと擬音したくなる雷雲は竜というよりは、大蛇のようでした。賢く、純粋で、街から吐き出された悪意を吸って巨大にうねっていました。
「…さよなら、博士。 指輪、ありがとう」
短い離別の言葉を残し、少年は雷雲の中に消えてゆきました。
「大丈夫。僕は悪魔にはならないよ。憎悪だって僕の一部だから」
「竜一よ…だめだ。いかん」
博士は子供のように、首を振ります。きっと彼は、少年がこれからしようとする事を察知したのでしょう。
「大丈夫。僕は“裁定者”として、もう少し『世界の真実』に耳を傾けている必要があるんだから…」
…『世界の真実』…!
【悲愴】と【憤怒】と【憎悪】だけの世界を彼はそのように命名してしまったのです……!
バリバリッ!!
少年の手から放たれた電流が窓ガラスを突き破りました。
「待つんだ!!」という博士の制止を振り切って、少年は雷の魔法を唱え窓ガラスを割ったのです。
さっきまでの気だるい雨だれが嘘のように、暴風と豪雨が廃オフィスに飛び込んできました。その風にマントは膨らみ今にも飛び立とうと彼を誘います。
暗い空には、彼を、いえ…“主”を待っていたように轟々という雷雲がとぐろを巻いていました。
ドルン、ドルンと擬音したくなる雷雲は竜というよりは、大蛇のようでした。賢く、純粋で、街から吐き出された悪意を吸って巨大にうねっていました。
「…さよなら、博士。 指輪、ありがとう」
短い離別の言葉を残し、少年は雷雲の中に消えてゆきました。