美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!
●第三章  物語の名は

愛し方を知らない少年

第三章
 ~物語の名は~
 第一節
  ~愛し方を知らない少年~

 7月5日。
 
 「清水塚中央図書館、全焼」
の記事は一昨日、昨日と地方版の一面を飾りました。県下一番の規模と収蔵本数を誇っていただけに思いの外市民の関心は高いようでした。
 もちろんその後の8課の活躍で、EPD能力、つまり『ドラグーン』の存在は隠蔽され事なきを得たワケですが、『ゼウス・サイン』と合わせて超常現象と訴える世間の潮流はより大きなものとなっていきました。それというのも、竜一がその晩の『ゼウス・サイン』の中で、図書館での『闇竜』、『光竜』、『炎竜(これは完全ではない)』の闘いを思わせる一節を語った為です。

 しかも…

 「しかも、どのマスコミより早くね!」
 Qは今朝の化粧の乗りの悪さの腹いせもあって、取り調べ監視室の机を激しく叩きます。

 机の上には南竜一の資料
――といっても中学生です、A4二枚ほどしかありません――
が置かれています。
 「困ったお子さんよッ!」
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