美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!
……

その日は初夏。
それでも“裸”になると、少し肌寒い日でした。
太陽の支配は終わった黄昏どき…。それにそこは、風にさらされる屋上…

肌寒いわけです、“裸”では…。

 ………

 「たぶん、監視されてるよ」

 「構わないわ」
 
 「恥ずかしくないの?」
 
 「もう……もう、そんなこと聞かないで」

 ………

 竜一は“それ”の始終、彼女の風よけになり続けました。
 しかし少年の体は硬く引き締まっているとはいえ、体のラインはまだまだ細く、美奈子は成熟した女として、それに何の包容力を感じ得る事は出来ませんでした。
…もちろん、物理的にはです。

“その”始終、美奈子は、血管の浮く少年の上腕を見つめ続けました。ときには、未完成のそれは彼女の背中にまわり、こわばりながらも強く抱きしめてくれました。
………

 監視役のKは、1キロも離れたビルの上から、その光景を見ていました。見ていましたがしかし、同じ女性としての“共感”もあったのでしょう、この事は自身の胸中に留めて置くとして、双眼鏡をケースに戻しました。
 

 Kは
「『ドラグーン・ダークネス』は目標に対し“全霊の誠意”を持って説得にあたった」
とだけ報告しました。

それは事実でした。
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