美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!
――そうだ、気にする必要はない。
 美奈子は思いました。
 別に裕とは今までも何もなかったし、ずっとフランクな関係なのだ。それに私は、達也の一件の前に、彼への気持ちは捨て去ったのだ。
 

 「そうか」
 しかし課長は、美奈子を責める姿勢を崩しませんでした。
「しかし…その結果はこれだよ…!」

 と、証拠を提示する検察官のように、自分の携帯をその場にいる三人が見えるように示します。

 画面には『第12章』とありました。

――それは――
――そう
『ゼウス・サイン』です…!


 「まさか!」
 美奈子は息を飲みます。彼女を黒くて生暖かい失望が一瞬のうちに飲み込みました。
「そんな…」
 
 視界が真っ暗になりました。
――そんな、竜一くんは…!!


 「説得には失敗した、というわけだ」
 と、課長は彼女にとって辛い事実を突きつけます。


 「…気にするな、美奈子」
 裕は両手で顔を覆う美奈子の肩を抱きました。
「もともと、説得の出来るようなヤツじゃないんだ」
< 252 / 447 >

この作品をシェア

pagetop