美少女戦士
イグニス・ドラグーン・ユイ!
午後9時、美奈子はようやく少年を見つけだしました。
彼女の眼前には、世界に怯え、世界を呪い、世界を救おうという少年がいます。
これは最後の説得、他者という温もりが少年をつつむよう…。
『奇跡』を、いえ『何処か気に入らない自分たちの世界が、少しでも崩壊する』のを信じて集った若者達でごった返す喫茶店にあって、美奈子と竜一の成す沈黙は異様なものでした。
彼らはまさか、この少年が『何処か気に入らない自分たちの世界』を壊してくれるメシアだとは気付きません。
「3年前でしょうか。15、6歳離れた兄達が久々に訪ねて来て…」
竜一は遠くを見るようにして、話し始めました。
「そう確か各々の子供の愚痴を語らっていました。小学生だった僕は既に寝ていましたが、ふっとトイレに起きたんです。
と、父の声が聞えました。『…なら女房の生理は把握しとけよ。あれは勝手に産みやがったんだ』と彼は言いました。
意味分かりますよね? 三人はそれから一頻り笑っていましたよ。『何が楽しくて女房にゴムを使わにゃならのか』、とか……」
彼女の眼前には、世界に怯え、世界を呪い、世界を救おうという少年がいます。
これは最後の説得、他者という温もりが少年をつつむよう…。
『奇跡』を、いえ『何処か気に入らない自分たちの世界が、少しでも崩壊する』のを信じて集った若者達でごった返す喫茶店にあって、美奈子と竜一の成す沈黙は異様なものでした。
彼らはまさか、この少年が『何処か気に入らない自分たちの世界』を壊してくれるメシアだとは気付きません。
「3年前でしょうか。15、6歳離れた兄達が久々に訪ねて来て…」
竜一は遠くを見るようにして、話し始めました。
「そう確か各々の子供の愚痴を語らっていました。小学生だった僕は既に寝ていましたが、ふっとトイレに起きたんです。
と、父の声が聞えました。『…なら女房の生理は把握しとけよ。あれは勝手に産みやがったんだ』と彼は言いました。
意味分かりますよね? 三人はそれから一頻り笑っていましたよ。『何が楽しくて女房にゴムを使わにゃならのか』、とか……」