美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!
 「じゃあ私の心を読んで…!」
 美奈子は握り返されないと知っていても尚、竜一の手を強くにぎりました。
 「決して絶望しないで…! 涙を外に出しなさい…! だって私がここにいるじゃない」

 
 と、店内中の蛍光灯がスパークして壊れました。
 『光竜』ではありません。
 『雷竜』による、過電流です。真っ暗になってしまった事で店内は騒然とします。

 女の無意味な悲鳴や、男の強がりの笑い声が、二人の交流に不粋に踏み込んできます。

 周りが騒がしい。聞こえないかもしれない。
 美奈子はそう思いましたが、絞り出すように言いました。

 「竜一くん、竜一ぃ…産まれた理由なんて関係ないの…。
“生まれた事に意味はない”のよ
“生きていく事に意味がある”んじゃない…」
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