美少女戦士
イグニス・ドラグーン・ユイ!
「人だ、人がビルに叩きつけられた!」
という半分正解の噂が群集の中に広まると、その超常現象は、危険さというスパイスも相まって、若者達の狂気をさらにヒートアップさせていきます。
――何かが起きている
――危険な何かが起きている
――だけど
――だけど、“自分が死ぬことはない”だろう
自爆テロのニュースなど他人事、隣家で起きる子供の虐待を見逃す国民性……。
それが南竜一の言う最大の悪、“無思慮”だとするならば、日本人の若者である我々が、自分に利害のないビルの倒壊を見て、面白がるのも頷けます。
「“自分の死すら、想像できないまでにスポイルされた子供たち”」
竜一は、ゆっくりと羽ばたき、呟きました。バサッ、バサッという『雷竜』の羽ばたきに合わせ、彼の体も中空を上下します。
彼の眼下には、もうもうと立ち込める灰塵に塗れた、美奈子と『闇竜』がいました。美奈子は方膝を地面に、『闇竜』は翼に傷を負っています。
「“0”って最強ですよね。1÷0は出来ないって習うじゃないですか?小学校の頃」
「でも答えは1÷0=∞(無限)でしょ? 0は1ですら無限にできる」
「僕と『雷竜』の力1としましょう。アナタと『闇竜』は1万でも、1億でも、1兆いい。 僕よりはるかに強いとする」
「けれど僕と『雷竜』は、“0”を味方につけてる。“0からエネルギーを引き出している” 分かりますか? “無思慮”には勝てないんですよ?美奈子さん」
「そう。勝てるわけがない…!!!」
そう言う竜一の額には、雷がまるで腹を空かせた蛇のように猛々しくとぐろを巻いています。
という半分正解の噂が群集の中に広まると、その超常現象は、危険さというスパイスも相まって、若者達の狂気をさらにヒートアップさせていきます。
――何かが起きている
――危険な何かが起きている
――だけど
――だけど、“自分が死ぬことはない”だろう
自爆テロのニュースなど他人事、隣家で起きる子供の虐待を見逃す国民性……。
それが南竜一の言う最大の悪、“無思慮”だとするならば、日本人の若者である我々が、自分に利害のないビルの倒壊を見て、面白がるのも頷けます。
「“自分の死すら、想像できないまでにスポイルされた子供たち”」
竜一は、ゆっくりと羽ばたき、呟きました。バサッ、バサッという『雷竜』の羽ばたきに合わせ、彼の体も中空を上下します。
彼の眼下には、もうもうと立ち込める灰塵に塗れた、美奈子と『闇竜』がいました。美奈子は方膝を地面に、『闇竜』は翼に傷を負っています。
「“0”って最強ですよね。1÷0は出来ないって習うじゃないですか?小学校の頃」
「でも答えは1÷0=∞(無限)でしょ? 0は1ですら無限にできる」
「僕と『雷竜』の力1としましょう。アナタと『闇竜』は1万でも、1億でも、1兆いい。 僕よりはるかに強いとする」
「けれど僕と『雷竜』は、“0”を味方につけてる。“0からエネルギーを引き出している” 分かりますか? “無思慮”には勝てないんですよ?美奈子さん」
「そう。勝てるわけがない…!!!」
そう言う竜一の額には、雷がまるで腹を空かせた蛇のように猛々しくとぐろを巻いています。