美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!
 「そうだ…。これを」
 と言って裕が差し出すのは――
 腕輪でした。

 そんな光景を見てしまえば、普段から冷徹なQでさえ、溢れ出す涙を禁じ得ませんでした。

 娘を闘いに行かせる。Qとしては裕の心情を想像すると、涙が止まらなかったのでしょう。


 「これは、『太陽王の腕輪』。これはお前を『ドラグーン・オブ・ザ・サン』へと変身させる…」


 「やめて!」
 しかしQの涙とは違います。母親である麻衣は拒絶しました。
 「何よ、ユイは私達の子供なのよ!? 闘わせるなんて!」


 「ママ……」
 ユイは麻衣に抱きつきました。堪えていた恐怖が溢れ出し、立っていられなくなった様でした。ユイは暫く麻衣に抱かれていました。その間、ユイは何度も深呼吸をしました。全ての思い出を吸い取るように深呼吸をしました。
 
 母娘の抱擁がすむと、父は言いました。
 「ユイ、どうする――?」


 「うん」
 ユイは目を真っ赤にした麻衣に微笑みました。
 そして娘であるユイが母親の麻衣に対し、まるで子供に説き諭すように言ったのでした。
 「いい? ママ? 人が一人壊れそうになってるんだよ? それを止める力が私にあるなら、それを使わないで終わるなんて私には出来ないよ…」

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