美少女戦士
イグニス・ドラグーン・ユイ!
昨夜の夢はすっかり忘れ、ユイは大好物のフレンチ・トーストを頬張っていました。
「コーヒーは?」
「牛乳でいい。 それ苦いンだもん」
テレビはもう、どこかで投身自殺した見ず知らずの高校生になど、既に一切の興味を無くして、次には梅雨の空模様に夢中のようです。
「さて、昨夜は観測史上類をみない“局地的な雷雲”に首都圏が襲われたワケですが……
「へぇ。 雷、凄かったの?」
麻衣は新聞を読みながら、特段の関心もなさそうにユイに訊ねました。
「結構、凄かったよ~。 遠過ぎて、音は… 聴こえなかったっぽいケド」
テレビで取り上げられているこの首都圏を襲った突発的な異常雷雲とは、もちろん、南竜一少年の仕業です。もちろん、100万の人々がその雷を見ていました。けれども、繰り返すようですが、誰一人として少年が得た有り余る“力”と“悲しみ”に気付く事は無かったのです。
テレビもまた、見当外れなアプローチを試みています。
「…そこで今朝は気象学に大変お詳しい、国立気象台副主任の井上教授にお越し頂きました」
…そしてもちろんユイもまた…
「ねぇ、ママ。異常気象だって!」
この時点では、世界中の人々がそうである様に、ユイもまた竜一の心からは遠過ぎて、彼の心音を聴こえない、そんなトコロに居るのでした。
「ふぅん…。あ、ちょっと! アンタ食べ過ぎよ!?」
「コーヒーは?」
「牛乳でいい。 それ苦いンだもん」
テレビはもう、どこかで投身自殺した見ず知らずの高校生になど、既に一切の興味を無くして、次には梅雨の空模様に夢中のようです。
「さて、昨夜は観測史上類をみない“局地的な雷雲”に首都圏が襲われたワケですが……
「へぇ。 雷、凄かったの?」
麻衣は新聞を読みながら、特段の関心もなさそうにユイに訊ねました。
「結構、凄かったよ~。 遠過ぎて、音は… 聴こえなかったっぽいケド」
テレビで取り上げられているこの首都圏を襲った突発的な異常雷雲とは、もちろん、南竜一少年の仕業です。もちろん、100万の人々がその雷を見ていました。けれども、繰り返すようですが、誰一人として少年が得た有り余る“力”と“悲しみ”に気付く事は無かったのです。
テレビもまた、見当外れなアプローチを試みています。
「…そこで今朝は気象学に大変お詳しい、国立気象台副主任の井上教授にお越し頂きました」
…そしてもちろんユイもまた…
「ねぇ、ママ。異常気象だって!」
この時点では、世界中の人々がそうである様に、ユイもまた竜一の心からは遠過ぎて、彼の心音を聴こえない、そんなトコロに居るのでした。
「ふぅん…。あ、ちょっと! アンタ食べ過ぎよ!?」