美少女戦士
イグニス・ドラグーン・ユイ!
清水塚中学校
第1章
~人の心は
何処へ流るる…~
第3節
~清水塚中学校~
「え~、で、これの式を因数分解すると……」
3年1組の教室。
ごくありふれた、数学の授業風景でした。
消化されるように去っていく日々…。青春という中にあって誰しもがそうした虚無感を覚えるし、覚えるべきでしょう。毎日とは何なのか。自分の日常に意味があるのか。喜びと気だるさの中で、子供達は大人の知らない“怪しい輝き”を身に付けていくのかもしれません。
それはほら、生徒達の中の一人、南竜一の指にもまた『雷王の指輪』が光っているようにです。
清水塚中学校。
藤間ユイと、南竜一が通う平凡な中学校の名前です。
南竜一は、国立美術館から世界的な装飾品を盗む、という大犯罪を犯して
おきながら、こうして中学生とは思えぬ才覚で、平素を装っているのでした。
「…計画が完了するまで、警察には踊っていてもらわねばならない…」
竜一は、そんなある種の興奮と快感を感じつつ、くだらない二次方程式と向き合っていました…。
………
その階下では、一年生が歴史の授業中でした。
藤間ユイは、大の苦手な社会の歴史の授業に、堪らず大あくびをしていました。
竜一に淡い想いを寄せる、藤間ユイはもちろん、彼がそんな危険な事を考えているなど、知る由もないのです。
後の席の友人が、不意にユイの肩を叩きました。
「そういえば、南先輩さ~」
「な、な、何で私に言うのさ?」
ユイは顔を赤らめます。竜一の名前に、眠気など、吹っ飛んでしまいました。
「落ち着いて、顔真っ赤よ」
~人の心は
何処へ流るる…~
第3節
~清水塚中学校~
「え~、で、これの式を因数分解すると……」
3年1組の教室。
ごくありふれた、数学の授業風景でした。
消化されるように去っていく日々…。青春という中にあって誰しもがそうした虚無感を覚えるし、覚えるべきでしょう。毎日とは何なのか。自分の日常に意味があるのか。喜びと気だるさの中で、子供達は大人の知らない“怪しい輝き”を身に付けていくのかもしれません。
それはほら、生徒達の中の一人、南竜一の指にもまた『雷王の指輪』が光っているようにです。
清水塚中学校。
藤間ユイと、南竜一が通う平凡な中学校の名前です。
南竜一は、国立美術館から世界的な装飾品を盗む、という大犯罪を犯して
おきながら、こうして中学生とは思えぬ才覚で、平素を装っているのでした。
「…計画が完了するまで、警察には踊っていてもらわねばならない…」
竜一は、そんなある種の興奮と快感を感じつつ、くだらない二次方程式と向き合っていました…。
………
その階下では、一年生が歴史の授業中でした。
藤間ユイは、大の苦手な社会の歴史の授業に、堪らず大あくびをしていました。
竜一に淡い想いを寄せる、藤間ユイはもちろん、彼がそんな危険な事を考えているなど、知る由もないのです。
後の席の友人が、不意にユイの肩を叩きました。
「そういえば、南先輩さ~」
「な、な、何で私に言うのさ?」
ユイは顔を赤らめます。竜一の名前に、眠気など、吹っ飛んでしまいました。
「落ち着いて、顔真っ赤よ」