美少女戦士
イグニス・ドラグーン・ユイ!
少女の涙は鼻筋を伝い、手の甲に滴り、指の隙間へとゆっくりと注がれていきました。少女の手の中の指輪もまた濡れていきます。少年の心を吸った指輪に、今度は温かな瑞々しさが染み渡っていったのでした。
……いつの間にでしょう、指輪は輝き始めていました。誰も気付かぬような控えめな輝きで、それは竜を形作っていきます。
しかし、これは奇跡ではないでしょう。
これはプリンセスの物語ではありません。
涙が神秘性を帯びて奇跡を招くというのではないのです。
涙に奇跡の力はありません。乙女の涙を与えられた男性の心に奇跡の力が宿るのです。
ですから、手の汗とか涙の塩味とか、血の匂いとか体温とか垢とか…そういったあるがままの少女の溢れる生気に触れたとき、指輪に残存した少年の心が極まったというべきです。
……いつの間にでしょう、指輪は輝き始めていました。誰も気付かぬような控えめな輝きで、それは竜を形作っていきます。
しかし、これは奇跡ではないでしょう。
これはプリンセスの物語ではありません。
涙が神秘性を帯びて奇跡を招くというのではないのです。
涙に奇跡の力はありません。乙女の涙を与えられた男性の心に奇跡の力が宿るのです。
ですから、手の汗とか涙の塩味とか、血の匂いとか体温とか垢とか…そういったあるがままの少女の溢れる生気に触れたとき、指輪に残存した少年の心が極まったというべきです。