美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!
 裕はまるで、捨てられた人形玩具のように無言のうちに制止しました。


 そして眼球だけが、惨めな別の生き物のように微震しています。


……

 少なくともQにはそう思えました。

 「先輩、冷静になって…!
 “博士”も見つからないし、盗まれたのは最強の雷竜、日本中の携帯で受信できる強力な思念を放ってる…!」

 「………」

 「いい?イカレたメールが既に5通も配信されてるのよ」

 「………」

 「先輩! ナリフリ構ってらんないんですよ!」


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 結局、清水塚中学校の件については明日、裕自身が調査する事でになりました。


…………
 (落ち着けよ、藤間裕…)

 裕は家路に着く車の中で自分に言いました。

 変わった事がなかったか、ユイに聞いてみようか…

 それとなく聞けるだろうか…
 ……いや、ともかく今日はゆっくり娘と過ごそう…


 …しかしその彼の夜は、人々の“感情の砂丘”の中で脆くも砕かれる事になるのでした…
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