美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ！

　眼下に広がる星々は少年にとってリアルでした。


　それは本来、我々には感受できません。
　我々にとっては、砂漠の砂がそうであるように全を成して美しくとも、その一つ一つは善悪すらも想像できない、虚仮の粒であるのです。

　“全ての感情”を感知できる少年にとってこそ、一粒一粒が全て“リアル”だったのでしょう。



　『ドラグーン・オブ・ザ・ライトニング』は雲間から見える眼下の世界を『感情の砂丘』と名づけました。


　…そして彼は、街に毎夜、飽きもせず生まれる“全ての感情”から、まるで、縁日で好きなヨーヨーを選ぶように、求めるべき、“同士”の悲鳴を探すのでした。


　彼は神経を澄ませ、“全ての感情”という砂を敷き詰めた砂場から、耳障りな『繁殖行為』をする男女の快楽という砂を押し退け、今ちょうど美しく未完成な悲しみと憎しみの砂粒を見つけ出すのでした。



　………いた…
と、彼は呟きました。

　彼には聞こえたのでした…！
そうです、今まさに…子供の柔らかな腹部が蹴り上げられる、“あの音”が…！