美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!
 男はよろめきながら立ち上がり、ゆっくり目を開きます。

 網膜が焼き付きを起こし、視界すべてが緑がかって見えていました。

 ……と…!

 〈…ん!?〉
 緑の視界は、息子の前で膝を突いて語りかける少年の姿を写しました。

 〈誰だ! お前は〉

 「君は世界に感情を入力した」そう問われた竜一はしかし、その卑小な男の怒声を華麗に冷徹に無視し、微笑みながら達也の髪に“綺麗な簪(かんざし)”を刺してやるのでした。


 「……だから……世界は竜を出力する…!」

………
……

 【フィィ……
 【フィーイイイン!!】
 電球、テレビ、携帯電話、炊飯ジャーのパネル、扇風機のランプ…
 家中の全ての発光部品が、人間に与えられたその能力を遥かに超過して輝きました!
 それらは、回路が焼き切れ、自身の命が尽きるまで眩い光を放ちます…!

 【パン、パン、パン…】
 と、全ての発光部品が限界を超え、破裂するなり、焼ききれるなりして、持てる寿命を使い切ります。

 闇に包まれる周囲…。

 ……いえ、違います…!
 違いました!

 光は消えたのではありません…!
 光は達也の頭にある簪(かんざし)に“集合”していたのです…!
< 67 / 447 >

この作品をシェア

pagetop