美少女戦士
イグニス・ドラグーン・ユイ!
●第零章 感情連鎖の理
No.5104777は『イルカ』
第0章
~感情連鎖の理~
博士は手近にあった『少年ジャンプ』を拾いあげました。彼は1年以上前のその湿ったページを繰りながら、“虚ろな目を持つ少年”に言います。
「神は、510兆…とんでとんで…4777番目に『イルカ』を創ったんだ」
“虚ろな目を持つ少年”は、テナント募集中という張り紙がされた窓に寄り掛かり、雨降りの街を見つめていました。色とりどりの傘と色とりどりの広告の街に、雨は宿命的に降り続けています。
ここは上野の雑居ビルの一室。少年は大人びてはいますが、たぶんまだ中学生です。
なぜこんなところに子供がいるのでしょう。 いえ、それにも況して奇怪なのは、彼の服装でした。
丈の長い袖にマント。氷河のような白に青のライン。金のバックル……。
それはそう、もう古生代にも思える90年代という時代のアニメに登場するコスチュームだったのです。
Xジャパンが解散し、イエローモンキーが出てきた、そんな時代。
博士は続けます。
「神は、510兆…とんでとんで…4778番目に『キノコ』を創った」
少年のその服が、ただの“風変わりな趣味”でないのはもちろんです。彼の表情は痛烈なほど神妙なものでしたし、そもそもこんな廃オフィスで……。
と、博士は続けます。
「神は、510兆…とんでとんで…4779番目に『ヒト』を創った」
――hito――?
「……ヒ…ト…?」
少年はそこで初めて唇を動かしました。
その不思議な響きの言葉を確かめるように
~感情連鎖の理~
博士は手近にあった『少年ジャンプ』を拾いあげました。彼は1年以上前のその湿ったページを繰りながら、“虚ろな目を持つ少年”に言います。
「神は、510兆…とんでとんで…4777番目に『イルカ』を創ったんだ」
“虚ろな目を持つ少年”は、テナント募集中という張り紙がされた窓に寄り掛かり、雨降りの街を見つめていました。色とりどりの傘と色とりどりの広告の街に、雨は宿命的に降り続けています。
ここは上野の雑居ビルの一室。少年は大人びてはいますが、たぶんまだ中学生です。
なぜこんなところに子供がいるのでしょう。 いえ、それにも況して奇怪なのは、彼の服装でした。
丈の長い袖にマント。氷河のような白に青のライン。金のバックル……。
それはそう、もう古生代にも思える90年代という時代のアニメに登場するコスチュームだったのです。
Xジャパンが解散し、イエローモンキーが出てきた、そんな時代。
博士は続けます。
「神は、510兆…とんでとんで…4778番目に『キノコ』を創った」
少年のその服が、ただの“風変わりな趣味”でないのはもちろんです。彼の表情は痛烈なほど神妙なものでしたし、そもそもこんな廃オフィスで……。
と、博士は続けます。
「神は、510兆…とんでとんで…4779番目に『ヒト』を創った」
――hito――?
「……ヒ…ト…?」
少年はそこで初めて唇を動かしました。
その不思議な響きの言葉を確かめるように