光の世界


――――

「ここで…いいんだよね」


レイは今サレスの屋上へ続く扉の前にいた。



エナが立ち去るときに,

「今日の夜,城の屋上の空中庭園にきて」

と伝言を残していったのだ。



こんな場所があることを知らなかったレイは,もちろんくるのも初めてだ。


恐る恐る扉に手をかけてゆっくりと開けていく…


「これは…」



そこには見事な庭園が広がっていた。



そして…



「レイ!!遅いよぉ」

「早くこいっ」



美しい庭園には沢山のテーブルが置かれ,沢山の料理が置いてあった。



呆然と立ち尽くすレイに,クライブがお酒の入ったグラスを渡す。



「おかえりなさい,レイ」



そのクライブの言葉に続き,たくさんの人がレイの帰還を祝った。



レイにとって,それはサレスで二度目となる歓迎パーティーだった。



「みな…今宵は宴じゃ!」



国王ジルバの声を合図に,終わりを知らない宴が始まった。



みな思い思いの時を過ごし,レイが部屋へ帰ったのは空が白んできた時だった。
< 106 / 109 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop